子供たちと教職員の「今」と「これから」を幸せにする学校経営

岐阜県小学校長会   会長  服部 晃幸

 

■希望の春

年度当初から十分な人員の配置ができず、教職員の過重負担に気を遣ったり、新学級への保護者の不満の声に対応したりするなど、希望に満ちた春とは思えない校長先生もおみえかと思います。校長会は、そういった困り感を共有し、各校長先生が自分らしさを発揮して学校経営に邁進できるよう互いに支え合う組織でありたいと思います。

また、今年度は、文部科学大臣から諮問を受けた中央教育審議会において、次期学習指導要領に関する議論が本格化します。校長会においても、未来を見据えた実践研究に取り組むことが大切になります。

コロナ禍を経て、学校の存在意義が問われている今、学校の魅力を思い浮かべて、学校教育の向かう先をいっしょに考えていきたいと思います。

■やさしさ

昨年度、ある保護者が「どうしても校長先生に伝えたいことがある」と校長室にみえました。「校門の前で交通当番をしていたら、1年生の子が泣いて学校に入ろうとしなくて。その子のお母さんが困りはてていたら、そこを通りかかった6年生の子がその子を包み込むようにして、手をつないで学校の中に入っていき感動しました。」と話されました。

また、身近に悲しい思いをしている子がいると気付いたとき、勇気を出して訴えた子がいました。自分に降りかかってくるかもしれない不安や恐れを感じながらも、困っている子や弱い子の立場に立って行動しようとする姿でした。

学校は、大人が真似できないような子供たちのやさしさに出会い心が洗われる場所です。

■無限の可能性

いつの時代も、好きなことに「とことん」のめり込む子供たちがいます。

本校には、鉄道好きの子が何名もいて、鉄道ジオラマコンテストに作品を出品にして、鉄道愛好家向けの情報誌に紹介された子がいます。また、JR西日本の赤字路線について探究し、ローカル線の存続について考察した作品をつくり、JR西日本に送付した子がいます。後日、JR西日本から「Aさんが考えていらっしゃる『便利に移動できる地域社会づくり』について、JR西日本といたしましても、とても大事なことだと考えています」といった詳しいコメントと鉄道グッズ(文具)が届きました。

学校は、子供たちがもつ無限の可能性や才能に心が踊る場所です。

■レジリエンス

卒業式で、卒業生の一人は、4月に委員会の委員長に選ばれリーダーとして自信をもって歩んでいたこと、7月の運動会の応援リーダーの選出の際には落選して自信をなくし苦悩したこと、そしてそこから自分を立ち直らせ歩んでいったことを語りました。

また、不登校傾向の子供は学校外の民間施設に自分の居場所を見つけて、前を向くようになりました。

学校は、子供たちの懸命に困難を乗り越えていこうとする姿に勇気づけられる場所です。

■エンジョイ

冬場に外で遊ぶ子が少なくなったことから、保健体育委員の子供が、テレビ番組を参考にした「西っ子逃走中!」という鬼ごっこのようなゲームを考え、昼休みに参加を呼びかけました。開始前に子供たちは大きな円陣をつくって「ハンターから逃げ切るぞ!」と気勢を上げていました。一方、ハンター役には、各学級担任に加えて校長やフリーの教員、校務員さん、ALTがサングラスをかけて駆けつけ、こちらも円陣をつくって子供に負けない声を出して気合いを入れていました。

学校は、子供といっしょに楽しめる場所です。

■談笑

子供が帰った放課後の職員室で、釣りやゴルフ、おいしいラーメン店の話が聞こえてきました。

学校は、何気ない会話を通して、多様な価値観や考え方を知ることができる場所です。仕事以外の話題を共有することで、仲が深まり、その後の人生を豊かにしていく出会いがある場所です。

 

校長会では、自校の魅力を語り合っていきましょう。校長の元気が、教職員や子供たちの元気につながります。1年間、よろしくお願いいたします。