見極め、歩み出す中学校長会

 

 

 

 

  岐阜県中学校長会 会長 田口 雅夫

 令和5年3月。卒業証書授与式が終わり、学年合唱のために隊形移動している間に、卒業生の一人が、保護者に対して語った言葉を紹介します。

 残すは卒業記念合唱のみとなりました。曲名「地球星歌」この歌は、 出会った人たちへの感謝と、これから出会う人たちへの想い、そして同じ地球を分け合うすべての人たちへの平和への願いを込めて創られた歌です。ちょうど3年前、私たちは小学校を卒業し、この中部中学校に入学しました。小学校の卒業式は、コロナ感染拡大を受けて、規模が縮小され、学年合唱も歌うことができず卒業しました。入学当初も、コロナ禍だからと言って、なかなか思うように活動ができなかったこともありました。しかし、私たち3年生は、誰一人として諦めませんでした。私たちのかけがえのない、思い出の3年間を「コロナ禍だからできなかった」という思い出にしたくなかったからです。だから私たちは、「できないことに目を向けるのではなく」「できること、できるようにしたいこと」に目を向け、前進することを心に誓ったのです。 私は、今、うれしい気持ちでいっぱいです。みんなと歌いたいと願った合唱を、思いっきり歌うことができます。みんなと、一つのものを創り上げる愉しさを感じることができて、本当にうれしいです。こうして、みんなと過ごした思い出の場所で、みんなと最高の思い出を、最後に創ることができます。次の曲がみんなと歌う、本当に最後の曲になりました! 成長した私たちの姿を歌にのせて届けます。聴いてください。

 

どの中学校でも、この言葉にあるような、制限の中でできることを考え、力を合わせてやり抜く資質・能力を育成してきたに違いありません。

 

1 貫く

中学校長会は、この2年間、校長が「制限=クリエイティブ」と捉え、校長自らが「レジリエンスを高める」ことで、学校経営の充実を図るというスタンスを貫きました。その成果が、各中学校での教職員や生徒の姿に現れています。

 

2 見極める

どの中学校も、求められる生活様式の変化も一つの契機とし、自校の生徒の実態等を踏まえ、教育課程を練り直し、新たなスタートをきりました。私たちは、常に「どんな生徒に育てたいのか」を問い返しながら、何をこそ大切にしなければならないのかを見極め、教育活動を創りだしています。

また、中学校では、日々、解決しなければならない様々な問題に直面します。一つ一つの問題に対して、真に解決すべきことは何かを見極めることが私たちに求められています。

 

3 個性を発揮する

学校が直面する問題が、多種多様である一方で、校長にも、それぞれの個性があり、得意分野があります。そうした個性の集合体である中学校長会の存在意義は、次の二つに集約できると捉えています。
・会員が、個性を発揮し、互いの得意分野から学び合い、各中学校の学校経営の充実を図ることができること。
・会員が個別に対応するのではなく、組織として対応することで、高等学校等との連携を強化し、各中学校の進路指導や生徒指導の充実を図ることができること。

 

4 歩み出す

できない理由を見出すことは容易です。しかし、そこにとどまっていては、閉塞感が募るばかりです。閉塞感を打破するためには、私たち自身が、できることを考え、自ら歩み出すしかないのです。その過程で、私たちも学び、成長します。
会員が、なすべきことを適切に見極め、個性を発揮して、より確かな見通しをもち、歩み出すことができるよう、中学校長会では、前述した二つの存在意義を踏まえて、研究推進と進路指導、生徒指導に重点を置き活動を進めていきます。