子供たちや教職員の「将来の幸せ」を真に願って連携・協働する中学校長会
岐阜県中学校長会 会長 佐藤 幹彦
1 朝本校で
毎朝、生徒の登校時間前に余裕をもって出勤すると、本校の職員玄関やそこから続く廊下、さらには、職員トイレの中もピカピカで、鏡の前には、家の畑などで摘んできた綺麗な花がそっと飾ってあります。毎日実に清々しい気持ちで一日をスタートできることに感謝していますが、それらはすべて勤務時間前から時間を惜しんで掃除をしてくれている校務員さんのおかげです。
ある日の朝、すでに汗だくになっている校務員さんに、「勤務時間前から無理しすぎないようにね。」と伝えました。すると返ってきた言葉は「朝早いのは習慣。職員玄関やトイレは学校の『顔』。そこが汚いと自分自身が恥ずかしい。いつ誰が来てもいいように朝から美しくしておくのは、自分や学校のためにも当たり前。」といった言葉でした。そんな思いで学校や教職員のために次から次へと業務をこなされていく毎日に、頭が下がる思いでいっぱいです。
2 真の目的は
上述のことは、県教委から出されている「教職員の働き方改革プラン2023」的に、「長時間勤務・多忙化解消に向けた取組の推進」「業務の適正化・効率化に向けた取組の推進」といった点から考えればツッコミどころ満載の状況かもしれません。しかし、校務員さんが学校を美しくすることに「やりがい=幸せ」を感じていただいているという点では、校務員さんに心から感謝するばかりです。
プランの中には、「教職員の働き方や学校の業務を見直し、また、働きやすい良好な職場環境づくりに取り組むことにより、教職員の負担の軽減を図り、限られた時間の中で教職員が健康でいきいきと働くことができ、子供たち一人一人としっかりと向き合うことができるよう、学校現場と教育委員会が一体となって「教職員の働き方改革」を進める…。」といった文面があります。その中でも「子供たち一人一人としっかり向き合えることができるよう」という点については、「働き方改革プラン」の「真の目的」とされている言葉だと認識しています。しかし、最近ではそのことよりも「教職員の勤務時間の負担軽減」といった点のみがクローズアップされてきていると感じているのは私だけでしょうか。
3 「幸せ」を真に願う
「元気に登校 笑顔で下校」…これは、私がいつも学校経営の「柱」として使っている合言葉です。対象は子供たちだけではなく教職員も含めており、自分自身の姿や指導成果を自己評価したり、新たな目標を持たせるための一助としたりしています。
きっと多くの校長先生方も似たようなことをされていると思いますが、「家庭でのこと」「学校でのこと」「仲間関係」等々、いろいろなことが噛み合わないとなかなか具現できないことは承知しています。さらには、不登校生徒が激増している現代ではなかなか受け入れられない言葉であるとも認識していますが、私はずっと使っています。その理由は、一人一人の子供や教職員が心身ともに健康で、いつも「元気・笑顔」でいてほしいと真に願っていること。そして、それぞれの居場所で、「楽しさ、やりがい」や「できた、わかった、やり遂げた」といった満足感や達成感を感じながら、自分なりの「幸せ」を見出してほしいと願っているからです。
4 さらなる連携・協働を
東日本大震災はもとより、このところのコロナ禍や能登半島地震等、まさに「予測困難な激動の社会」の中にあって、教育界は今後さらに「課題山積、先行き不透明」という言葉に翻弄され、我々の悩みは尽きぬ状況が続くのは言うまでもありません。
しかし、どんな教育改革の波が押し寄せようとも、私たち中学校長会は、これまでの創意工夫ある研究推進と、進路指導や生徒指導に係る各種関係機関との良好な関係等、脈々と継承してきた財産を大切にしながら、子供たちや教職員一人一人の「将来の幸せ」を真に願って、各地区・各中学校間の連携・協働を大切にしていきたいです。そして、どんな状況の中にあっても、お互いにくじけず前を向いて進んでいく中学校長会となるよう、皆様の温かいご理解・ご支援をどうぞよろしくお願いいたします。