組織的にリーダーシップを磨く 小学校長会

岐阜県小学校長会  会長  岩見 浩二

令和元年度3月卒業証書授与式での6年生の姿が今でも目に浮かびます。2月突然生じた新型コロナウィルス感染症拡大。対策のため全国の学校が臨時休業となった期間に対策万全にして実施した卒業式。練習がまったくできませんでしたが、実にたくましい、凛々しい姿で巣立っていった6年生の姿です。その後、学校は令和5年5月までの4年余り感染拡大防止と学びの両立を常に意識する学校経営が続きました。子どもたちが目標をもって楽しく力を高める運動会、修学旅行等の教育活動は、関係機関と検討を重ね、感染対策に万全の期した状況下での実施でした。教職員の活動や研修も様々な制約を受け、その影響は決して小さくありません。こうした厳しい状況を経験し校長として学校経営において真に注力すべきことを見極める機会となりました。

1 先送りできない問題、持続可能な組織

こうした感染対策の影響に加え、不登校30万人、いじめ認知68万件、教職員休職者6,500人、教員不足、教員志願者減といった報道を目にするたびに、先送りできない問題に直面していると認識させられます。変化の大きい昨今の状況に対して現状の学校が持続可能な組織かどうか問われているとも考えられます。令和5年度10月東陸連小岐阜大会宣言文では、グローバル化・情報化の加速度的な進展、複雑化する国際問題、突発的な自然災害、新感染症対策、価値観の多様化等、予測が困難な時代の到来に言及し、GIGAスクール構想の推進やカリキュラム・マネジメントを意図した教育課程への見直し、教職員の働き方改革等の喫緊の問題に対して、校長がリーダーシップを発揮し向き合っていくことを確認しました。こうした状況でコロナ禍の経験値を生かし、校長として真に学校経営に必要なものを峻別し、関係機関とともに実効性のある方策を思い描き迅速に対応することが求められていると考えます。

2 学校経営に組織の力を生かす

こうしたことを踏まえ、校長会の組織的な取組をふりかえると、県小中校長会では、教育問題審議会の検討課題(スクールロイヤー等の活用事例、校長のリーダーシップによる特別支援教育のマネジメントの在り方)は、困難な問題に向き合う際の方針、進め方等のヒントが得られます。

県小校長会としては、令和5年度東陸連小岐阜大会を参集型で開催しました。校長のリーダーシップを磨くことに話題を焦点化し、質の高い実効性のある成果が共有できました。大会の運営についても、効果的、効率的で配慮のゆきとどいたものとするため、岐阜市、岐阜地区及び関係の校長先生方がチームワークを発揮されたことも大きな成果でした。大会を機に作成した「大会要録」「大会報告書」及び令和5年度「研究紀要 NO.67」では、喫緊の課題に対し自校及び郡市の実情を踏まえ、真摯に向き合い、具体的な方策を試み、検証を加えた様々な研究実践を掲載されています。自校で実践する際のポイントが端的に示された資料として活用され、各校、各郡市の実態、実情に応じて学校経営に還元されることを切に願っています。

3 組織的にリーダーシップを磨く

これまで感染対策の状況下でも校長の学びを止めないために、令和2年度西濃大会は秋の研究総会を書面開催、3年度可茂大会、4年度岐阜大会は規模を縮小し方法を工夫して分科会のみを開催しました。令和5年度には第58回東陸連小岐阜大会を4年間の研究サイクルの集大成として開催しました。こうした歩みを踏まえ、令和6年度から新しい3年間の研究サイクルとし、分科会所属郡市も新たに組み替えました。この新たな歩みを令和6年11月飛騨大会として高山市の飛騨・世界生活文化センターを会場に開催する予定です。4年ぶりに全体会を位置付け、県教育委員会や開催地区の関係機関の方々をお招きし、県小校長会の活動方針や活動の具体についてご指導、ご助言をいただき、全ての小学校長が直接受け止める時間を大切にしたいと考えます。

今年度も皆様の英知と情熱を結集し、校長のリーダーシップを磨き信頼される学校づくりを進めてまいります。どうかよろしくお願いいたします。