先を見据えて動く「小中学校長会」
岐阜県小中学校長会 会長 岩井 隆司
岐阜県小中学校長会の重責を担うことになりました。力不足ではありますが、精一杯務めさせていただきます。会員の皆様のご支援をよろしくお願いいたします。
さて、新型コロナウイルス感染症は、未だはっきりとした終息の見通しのないまま3年目に入ろうとしています。授業や給食、部活動等の日常の学校生活の在り方や、運動会や修学旅行等の学校行事の実施方法について、児童生徒に軸足を置きながら、引き続き細やかな配慮と難しい判断が求められることが予想されます。しかし、コロナ禍も3年目を迎え、目の前の対応だけではなく、終息後を見通した教育課程の見直し等の「学校の新しい生活様式」にも積極的に取り組んでいかなければなりません。
また、「Society5.0時代」の到来を見据えて段階的に進められてきたICT等の先進技術を用いた教育手法と、先進技術を扱える人材の育成に取り組む教育が一気に加速され、昨年度には、県内すべての市町村立学校で、児童生徒一人一台のタブレット端末が導入されました。
「従来の日本型学校教育」では、教師主導で、全員が決められた時間や場所で、同じ教材を使って一斉に授業を受け、“勉強”の成果は知識再生型のペーパーテストで測定してきました。
「令和の日本型学校教育」では、今までの学校教育の蓄積を活かしつつ、全ての児童生徒の可能性を引き出す「個別最適な学び」と「協働的な学び」を充実させ、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善が求められています。そうした“学び”を経て、例えば、自分自身の意思で情報を編集し、対話や協働を通じて新しい価値や「納得解」を生み出す力といった、急激に変化する時代の中で育むべき資質・能力が身に付くようにしなければなりません。コロナ禍の中で、小学校・中学校共に、すでに学習指導要領が全面実施となっています。
今後は感染予防等に伴う児童生徒の学びを保障するためのICTの活用(オンライン学習)だけでなく、効果的な学習活動を行うための身近な文具としてのICTの利活用の推進も喫緊の課題となっています。
岐阜県の校長会は、研究や教育実践については、小学校長会・中学校長会が担っています。小中学校長会の役割は義務教育の代表として、県行政や関係機関等に「学校の声」を伝え、連携した動きをつくること、義務教育への理解者をつくることです。
■ より質の高い教育を求める「小中学校長会」
教育改革の流れの中で、前述の「GIGAスクール構想」「段階的な35人学級への移行」「(小学校高学年)教科担任制の推進」「部活動改革」等の様々な課題が山積するとともに、変化が激しく価値観が多様化した社会では、学校を取り巻く課題は、複雑でかつてないほど多岐にわたっています。
岐阜県の義務教育の一層の推進、充実、強化という願いに立って、組織内や他の組織との連携を大切にしながら、提言・要望活動を行っていきます。特に本年度は、市町村で行われている要望内容を十分踏まえたうえで進めていきたいと思います。
■ 一人一人が互いに学び合う「小中学校長会」
コロナ禍における学校運営をはじめ、山積する諸課題に適切に対応していくためには、まずは校長が互いに学び合っていくことが大切になります。
「教育問題審議会」では、学校に対する様々な要求へのスクールロイヤーの実際の活用事例を2年間にわたって収集し、項目ごとに整理してきました。その他に、ICTを活用した「個別最適な学び」と「協働的な学び」の在り方についても研究してきました。本年度も、そうした活動を更に深め、各校長先生方に有益となる情報提供をしていきたいと思います。