予測困難な時代を生き抜く校長、その心の強さを下支えする中学校長会

岐阜県中学校長会

会長 七野 武稔

「予測困難な時代に、一人一人が未来の担い手となる(中教審答申H28.12.21)」ことが求められ、学習指導要領が改訂されました。中学校においては、来年度から全面実施となります。私たちは、生徒一人一人に、予測困難な時代を生き抜く力を育成しなければなりません。

しかし、昨今の社会情勢を見れば、予測困難な時代を生き抜く力は、私たち校長にこそ必要な力ではないかとさえ感じます。そして、これまでの人生を振り返れば、私たちはそれなりにいくつかの困難に対応し、生き抜いてきたと言えるのではないかとも思います。

私たち自身が、入試制度の変革に直面しています。私の公立高校入試は学校群制度三年目であり、国公立の大学入試は共通一次元年でした。

教員になってからは、教科の再編成がありました。小学校1・2年に生活科が新設され、小・中学校に「総合的な学習の時間」が創設され、道徳が教科化されました。

学力観も大きく変わりました。「ゆとり教育」をキャッチフレーズに学習負担が軽減され、「新しい学力観」により、子ども中心主義の教育が重視されました。その後は、ゆとり路線が見直され、「確かな学力」の向上が求められるようになりました。

学習評価に関する考え方も変わり、相対評価から絶対評価に改められました。

また生徒指導においては、いじめ防止対策推進法の制定により、従来の教育的対応とともに、法的対応が重要となりました。そして今後は、災害管理に対する校長の責任が、大きく問われることとなります。

私たちは今、これらの変化・困難を乗り越え、あるいは揉まれながら、学校づくりを行っています。そしてこれからも「人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成」を担います。

これからの変化・困難が大きなものであっても、それらに翻弄されることなく、本質を見極め、確かな教育実践を地道に積み上げていきたいものです。

さて、新学習指導要領の全面実施まで、残り一年となりました。今回の学習指導要領は「資質・能力の育成」をキーワードに、従来の学習指導要領とは一線を画するものとなっています。私たちは、その趣旨を十分に理解し、納得することが必要です。そして本年度中に準備を仕上げ、全面実施を迎えなければなりません。

働き方改革も「待ったなし」です。超過勤務の上限ガイドライン(月45時間、年間360時間)が私たちに重くのしかかってきます。様々な知恵を出し合って、改革を進めているわけですが、生徒のために頑張ることが正当に評価されるべきこと、変えてはいけないことがあることを忘れてはなりません。誰のための、何のための働き方改革であるかを、今一度考えながら取り組む必要があるのではないかと考えます。

さらに、いじめ・不登校等の問題は最優先課題であり、災害管理(防災・減災)への対応には、一刻の猶予もありません。今回の新型コロナウイルスへの対応も、大きく見れば災害管理です。

本年度の岐阜県中学校長会は活動の方針と重点に、「学校危機を支援するチームの派遣(要請による)」という一文を書き加えました。学校を取り巻く環境は厳しさを増し、誰もが学校危機に立ち向かう当事者になり得ます。そしてひとたび事が起きれば、私たちは一人で決断せねばなりません。その困難を同じ校長として支え合うことができないか、事が起きても、仲間に支えられているという安心感を、組織としてつくることができないかと考えました。すべての校長が支える側にもなり、支えられる側にもなります。

私たち校長には、やさしさとしなやかさ、そして心の強さが必要であると私は思っています。とくに心の強さは大きな要素です。だからこそ、その心の強さを下支えする校長会であり、一人の校長を支える校長会でありたいと思います。